不動産投資は株式投資、投資信託などと並び、ポピュラーな資産運用の一つ。一方で、投資額の高さや、一部の悪質な営業のイメージから、「他の運用方法と比べてハイリスクなのでは」と思われることも多い。
そこで今回は不動産投資業界歴20年を誇る株式会社メイクスの中島さんに、不動産投資の「いろは」を伺った。
「現金がなくても始められる、安定性の高い資産運用」
ーまずはじめに、不動産投資にはどんな種類があるのか教えてください。
一口に「不動産投資」と言っても、色々な種類があります。
例えば、駐車場を経営したり、地方の広い場所ではガソリンスタンドや企業の工場に貸し出す「土地ベース」の投資。「建物ベース」の投資は、ビルやマンションを一棟買うケースや、戸建てを買うケース、建物内の部屋単位で買うケースがあります。
サラリーマン大家さんという言葉がありますが、会社員としてお勤めの方が不動産投資をはじめる際一般的なのは「ワンルームマンション投資」ですね。
ーワンルーム投資が人気なのはなぜでしょうか?
一棟の投資よりも管理がしやいからだと思います。
一棟の投資よりも管理がしやいからだと思います。普段働いていると、不動産投資に対して割ける時間にどうしても制約が出てきてしまいますよね。一棟や戸建ての場合だと、例えば建物の修繕はオーナーに義務付けられているし、日々の管理を委託する管理会社も自ら探さないといけない。
一方ワンルームマンション投資は、修繕の段取りも管理会社もすでに決まっている場合が多いです。そのため不動産投資の入り口としても人気が高いのがワンルームマンション投資です。
ー他の運用方法と比べて、不動産投資の特徴はズバリ何でしょう。
大きな違いは、3つあります。
1つ目は、「まとまった現金が手元になくても始められること」です。言い換えると「自分の信用を担保に投資ができる」ということですね。不動産投資はローンを組む場合がほとんどですが、例えば株式投資を始めたいから、という理由では銀行からはお金を借りられません。投資と名のつくもので個人がお金を借りられるのは基本的には不動産だけなんです。
2つ目は、「長期の安定的な収入が見込めること」です。投資で得られる利益には「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」という2種類があります。キャピタルゲインは資産を売却した時に得られる利益のこと。対してインカムゲインは資産を保有している間に得られる利益のことです。購入した部屋を貸し出すことで、売却時の損益とは別に、家賃収入が入りますよね。保有しながら利益を得るので、インカムゲインに当たります。安定的にお金を生むことができるという点が、他の金融商品と大きく異なります。
3つ目は、「インフレに強いこと」です。現在、経済対策で約60兆円国債が発行されており、今後物価はさらに上がっていくだろうと予想されています。物価と一緒に、家賃も一緒に上がっていく。他の金融商品ではあまりない特徴ですね。
最大のリスク「空室」にどう向き合うか
ーでは、不動産投資のデメリットも教えてください。
「不動産投資のリスク=家賃が入らないこと」です。
家賃が入らなくなる状況とは、例えば地震で建物が倒壊する、火事で焼けてしまう、事故が起きる、その土地に住みたい人が減るなどさまざまな要因があります。
ー空室リスクに対し、不動産会社にはどのような打ち手があるのでしょうか。
大半の不動産会社では、「サブリース」という制度を展開しています。
サブリースとは、サブリース会社が物件を借り上げ、入居者に転貸するという制度です。まずサブリース会社が借りるわけですから、入居者の有無に関わらず家賃収入が見込めます。
メイクスでは、サブリースプランを利用するオーナー様に対し、査定家賃の90%を保証させて頂いております。※1
しかしサブリース会社からの保証家賃は直接入居者と契約する場合より低くなること、市況に合わせ都度金額を見直される可能性があるなどのデメリットがあります。※2
また、そもそもサブリースを勧める不動産会社や、サブリースをつけないといけないくらい空室リスクがある物件はオススメしません。サブリース会社が潰れてしまったらおしまいですからね。本来サブリースをつけなくても入居者がつきそう、もしくは売却を見込めそうな物件を見極めて投資することが何より大切です。サブリースは、あくまで保険として利用する方法もあるな、と考えていただけたら良いと思います。
ー初めての大家業、やることが多そうで不安です。
そうですね。不動産投資の契約には、今お伝えしたサブリース制度の他に、「集金代行契約」という制度があります。これは家賃の集金や家賃を滞納している借主の督促や退去時の立会いなど、いわゆる大家さん業を不動産会社が代行するサービスです。
メイクスでは手数料として家賃の5%(消費税別)をいただいています。集金代行契約の場合、空室時の賃料の保証はありませんが、「サブリース契約」「集金代行契約」共に弊社賃貸管理業務を営むグループ会社「株式会社メイクスマネジメント」がオーナー様にかわり入居者様との対応を代行しますので、ほとんどの業務をオーナー様のお手をわずらわせる事なく管理をお任せ頂けます。
なによりも大事なのは、明確な目標設定
ー中島さんは業界歴20年以上でいらっしゃいます。不動産投資のプロから見る、成功する人の特徴を教えてください。
数字ベースでの目標設定がされていて、そこから逆算して運用している人でしょうか。
そもそも不動産投資は成功、失敗の明確な指標がない投資です。例えば株式投資であれば、一般的には株を購入した時より高く売れたら成功、とシンプルですよね。対して不動産投資は、保有し続けて長期的に家賃収入を得たり、高値になったら売却したり、とお金が動くタイミングが多様です。明確な指標がない分、私から見たら成功しているように見えても、ご自身では不満を感じている方もいらっしゃいましたし、その逆もありました。
ーなるほど。まず何が自分にとっての「成功」なのかを掘り下げるべき、ということですね。
はい。ゴールが定まることで、許容すべきリスクや選ぶ物件も変わってきますからね。
老後の生活にゆとりを作りたいのか、直近で利益を出したいのか、はたまた節税のための投資なのか。ゴールから逆算して、どれくらいの期間でいくら資産形成するべきか、ファイナンシャルプランナーなどの資格者や、資格をもつ不動産コンサルタントに相談しながら、自分の目標を明確にしておくことをおすすめします。
ーでは、将来高値になりそうな不動産を見抜く方法はありますか?
私は物件価格の上昇は「再現性の低さ」が特徴だと考えています。
例えば購入したところにたまたま開発が入って結果値上がりした、とか、地方で土地を持っていたエリアに高速道路が走ることになって値上がりした、とかですね。値上がりの要因はパターン化しにくいため、将来高値になりそうな物件を追うよりも、いかにして失敗を防ぐか、という観点が大事になってくると思います。
ー不動産投資をした結果、後悔している人に多い特徴はありますか?
ダントツで多いと感じるのが「比較検討しない人」ですね。失敗の理由はいろいろあると思いますが、一人の話を信じすぎてしまって、他の意見を聞かないというのはみなさん共通しています。失敗したと相談にいらっしゃる方に聞いてみると、やはり明確な目標や施策を立てずに、「この人が言っていたから」という理由のみで迷走してしまい、取り返しがつかなくなるパターンが多いですね。
ー数社で比較して、複合的に判断することが大切なのですね。
はい。納得して購入するためには一社で決めないというのが鉄則です。一つの意見に飛びつくのではなく、セカンドオピニオンも取り入れた上で判断する。これは不動産投資だけでなく、他の資産運用でも言えることだと思います。
「何もしない、がリスクの時代」
ー貯金してるから資産運用は必要ない、と考える人も多いと思います。
その発想は危険ですね。というのも、今は銀行に預けているお金の価値がだんだん下がっている時代です。
通帳に記入される額面に変化がないので実感しにくいですが、物価が上がると相対的にお金の価値は下がります。バブル崩壊後から現在に至るまで、日本のインフレ率は5%。つまり物価が5%上がっているということです。それに付随して、銀行にあるお金がだいたい実質0.5%から1%ずつ価値が下がっています。つまり銀行に預金を預けたままで「何もしない」という選択がリスクになっているのです。
ー自ら意識しない限り、お金について学ぶ機会ってない気がします。
そうですね。だからこそ、不動産投資をはじめ各種資産運用の違いを知ることが大事だと思います。知った上でやらないという選択肢を選ぶのはいいけれど、知らずに何もしないのはあまりに勿体無い。先ほどもお話ししましたが、何もしないと資産は減る一方ですからね。
よく、「独身だけど、今のライフプランで買っていいのか」という方がいらっしゃいますが、結婚しても子供ができても、ほとんどの方は老後に年金で暮らす生活が待っているはずです。であれば、それに備えて投資を始め、老後の保証づくりをするのがいいのではと個人的には思います。
ー最後に、もし中島さんご自身が資産運用を今始めるなら、どのような選択をしますか?
リスクヘッジの観点から、通貨分散・分散投資するべきというのが私の考えです。
円資産が100%の方がほとんどだと思いますが、世界の流通量がわずか10%程度の円だけで資産を保有するのはリスクが高い。ドルの方が通貨としては強いわけです。通貨を分散させて保有しておくと良いでしょう。
また、コロナ禍において、不動産価格は大きく下がらなかったことで、資産価値としての安定性が見直されました。まとまった現金を使わず投資できる、というメリットを活かすため、私なら頭金を抑える方法で投資します。ちなみに2020年の上半期、世界の不動産投資の金額取引ランキングのトップは東京なんです。これは世界的に見た時に、コロナの影響が少なくて安定して見えるということや、カントリーリスク(社会情勢の変化で損失が生じる危険性)が低いことが影響しています。以上のことから、一見ハイリスクに思われがちな不動産投資も、複数のコンサルタントにきちんと話を聞いて進めれば、有意義な選択肢だと思います。
優秀なエージェントに出会うために
今回の話にもあったように、満足のいく不動産購入には、優秀なエージェントとの出会いが欠かせません。Agentlyには、お話を伺った中島さんをはじめ不動産のトップエージェントが多数登録。ご利用は無料です。
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※1 免責期間1か月必要。免責期間の無い85%保証プラン等もある
※2 家賃は定期的な見直しがある。また借地借家法第32条規定により減額請求される可能性がある。ただし、家賃が経済事情の変動により不相当となったとき、等借地借家法上の要件を満たさない限りサブリース会社より減額請求は出来ない。また減額請求は必ず受け入れなくてはならないわけではなく、変更前の家賃決定の要素とした事情を総合的に考慮した上で協議により相当家賃額が決定されます。また契約期間中において、サブリース会社から解約される可能性がある。借地借家法第28条に基づきオーナー様からの解約には正当事由が必要となる。