全国的にみて子育て支援といった行政サービスが充実している東京23区。その中でも財政の潤っている都心部の区ならではの行政サービスには、どのようなものがあるのでしょうか。
今回は港区、中央区、千代田区、渋谷区、目黒区、文京区の子育て支援サービスをフィーチャーして紹介していきます。各区のユニークな行政サービスも必見です。
千代田区は子どもの医療負担が18歳まで
待機児童数 | 子供医療費負担 | 子育て住宅支援 | 妊婦健診 | |
千代田区 | 4 | 18歳まで※ | 最大8万円/月 | 14回+超音波検査2回・子宮頸癌検診1回 |
渋谷区 | 92 | 中学校卒業まで | なし | 14回+超音波検査1回・子宮頸癌検査1回 |
港区 | 0 | 中学校卒業まで | なし | 14回+超音波検査2回・子宮頸癌検査1回 |
目黒区 | 79 | 中学校卒業まで | 2万円/月 | 14回+超音波検査1回・子宮頸癌検査1回 |
中央区 | 197 | 中学校卒業まで | なし | 14回+超音波検査1回・子宮頸癌検査1回 |
文京区 | 46 | 中学校卒業まで | なし | 14回+超音波検査3回・子宮頸癌検査1回 |
出典/各区公式ページ、東京都福祉保健局ページより作成。記載の助成は制度により条件があるものもあるため、詳しくは各区のページにてご確認ください。
※高校生等医療費助成制度を利用の場合。そのほかの区でも、ひとり親の場合など条件により18歳まで助成が受けられる場合があります。
「子供の医療費負担期間」と「待機児童数」と「住宅支援制度」の3つの項目で6区を比較してみたところ、千代田区がとくに秀でていることがわかります。
まずは、千代田区の手厚い行政サービスについて詳しく見ていきましょう。
子どもの医療費がかからない“千代田区”
次世代育成住宅助成
「親世帯との近居のために住み替える新婚世帯・子育て世帯」や「子どもの成長等に伴いより広い住宅に住むために区内転居する子育て世帯」をターゲットとしており、新婚世帯や子育て層の定住化を支援するサービスとなっています。
対象
千代田区内の住み替えをする世帯が対象であり、
a.区内に引き続き5年以上居住する親がいる新婚世帯・子育て世帯
b.区内に引き続き1年以上居住している子育て世帯条件
世帯の年間所得の合計が、2人世帯であれば189万6千円~1,038万8千円、3人世帯であれば189万6千円~1,076万8千円、4人世帯であれば189万6千円~1,114万8千円の範囲内であること。
補助額
親元近居と区内転居で助成額が異なります。例えば親元近居で2人世帯または区内転居で4人世帯だと、1年目は月々4万円助成、2年目は3.6万円、8年目に1.2万円で終了。助成期間は最少8年間または末子が18歳に達する年度まで。
高校生等医療費助成制度
6区の中で唯一高校生まで医療費を負担していた区は千代田区。23区は全て中学生まで医療費がかからないのですが、さらに手厚いのが千代田区といえるでしょう。
通院だけではなく入院も、18才まで所得制限なしで医療費が無料とります。
誕生準備手当
一回の妊娠につき、一時金として 45,000円が支給されるというもの。
対象は妊娠20週以降から出産までの方で、千代田区内に住所(住民登録)を有している方。流産または死産の場合でも支給されます。
特定不妊治療費助成事業
医療保険対象外である特定不妊治療費用の一部を助成するサービス。
助成対象治療費から、東京都の特定不妊治療費助成事業により助成された額を、差し引いた額の範囲内で助成するという助成制度です。ただし助成金の限度額は15万円で、東京都の当該助成事業で交付を受けた助成金の額の2分の1の額(端数がある場合は切り捨てる。)という決まりがあります。
細やかなサポートがうれしい“目黒区”
ファミリー世帯家賃助成
目黒区内の民間賃貸住宅に居住する、18歳未満の子を扶養する世帯に対し、家賃の一部を助成する制度です。条件は以下ですが、現状では年度ごとに140世帯が対象とされており、抽選に当たった場合に助成が受けられます。
今年度の抽選はすでに終了しているため、該当する方は次回にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
対象
ファミリー世帯(18歳未満の子を扶養し同居している家庭)
条件
世帯の年間総所得が2人世帯であれば514.4万円、3人世帯であれば552.4万円4人世帯であれば590.4万円未満であること。
区内に1年以上居住していること。
助成額
月額3万円
助成期間
要件に該当すれば最長3年間
出産・子育て応援事業「ゆりかご・めぐろ」
妊娠届出時に、すべての方を対象にゆりかご相談員(助産師、保健師、看護師の専門職)が面接をしてくれるというサービス。
妊娠や出産、育児などの不安や悩みなどが気軽に相談できます。面接終了後に「ゆりかご応援グッズ(育児用品カタログギフト1万円相当)」がもらえます。
出典/出産・子育て応援事業(ゆりかご・めぐろ):目黒区公式ホームページ
子どもショートステイ
区内在住の3歳から小学校6年生までのお子さんを対象に、保護者が病気・出産・仕事のための出張などでお子さんの面倒を見られないとき、区内の児童養護施設で短期間(1回につき7日以内、月に1回限り)宿泊を伴う一時預かりを行う事業です。
条件
他に養育する方がいなくかつ、保護者の方が一時的に仕事のための出張や冠婚葬祭で夜間不在になるとき、もしくは病気や出産のために入院するとき、もしくはご家族の病気などで夜間に介護が必要なとき、もしくは事故や災害にあった場合
利用料
1人1日 3,000円(食費、光熱費等の実費)(生活保護世帯は無料)
出典/子どもショートステイ(子ども家庭課子ども家庭支援センター係) 目黒区
「ほ・ねっと ひろば」
子育てに困ったとき、不安や悩みがあるときに相談できる子育て総合相談窓口と子育てひろばがあります。
子育て家庭に寄り添いながら、地域の子育て情報の提供や子育て支援の紹介などを行っています。子育て広場、子育て情報コーナー、図書コーナー、職員やボランティアによる体操・手遊び・絵本の読み聞かせ、子育ての講座など充実した施設となっています。
不妊治療やちぃバス無料が特長の“港区”
出産費用の助成
分娩費や出産にかかった入院費用(上限額60万円)から、健康保険で支給される出産育児一時金(付加金含む)を差し引いた額が助成されます。
対象
a.保護者が出産した日以前から出産後も港区に住所があり、申請日において引き続き1年以上港区に居住していること
b.産まれた子どもも出生日から港区に住所があり、保護者と同居していること
c.母が日本の公的な健康保険に加入していること (母が被保険者または、父の被扶養者等)
助成内容
分娩費や出産にかかった入院費用(上限額60万円)から、健康保険で支給される出産育児一時金(付加金含む)を差し引いた額を助成します。なお、高額療養費(付加金含む)は、出産費用から差し引きます。
出産育児一時金で支給される42万円を超えた分が、最大で18万円まで区から助成されるというサービスです。
港区不妊治療費助成
対象
港区に治療の開始日から終了日から申請日まで継続して住民登録があり、法律上の婚姻をしている夫婦
助成内容
高額の医療費がかかる特定不妊治療の医療保険が適用されない費用の一部を、年度内30万円を限度に助成しています。また、男性不妊治療も年度内15万円を限度に助成しています。
コミュニティバス「ちぃバス」無料乗車券発行
妊娠が判明し母子健康手帳が発行された日から出産1年後の前月末まで、妊婦さんはなんと無料で区内を走るちぃバスを利用することができます。
テクノロジーで支援する“渋谷区”
ハッピーマザー出生助成金
出産に対して10万円の助成金がもらえる制度です。
対象
対象妊娠12週を超えて(85日以上)出産し、出産日の3か月前から申請日現在まで継続して区内に住民登録があり、健康保険に加入している人
助成金
1人の出産につき限度額10万円
渋谷区LINE公式アカウント
妊婦や子育て世代に向けた様々な情報を発信するLINE公式アカウント。住んでいる地区と子どもの生年月日を入力すると様々な通知が来ます。
例えば妊娠中なら出産予定日に合わせて必要な手続きの通知というように、個人の状況にカスタマイズされた情報が届きます。また、子育てに関する質問にAIが答える自動応答システムも取り入れており、24時間気軽に相談できるプラットフォームが整備されています。2017年9月には渋谷区のママの約半数が登録しているそうです。ITを使った渋谷らしいサービスですね。
困ったときへの備えが心強い“中央区”
タクシー利用券
出産祝いとして1万円分のタクシー利用券が妊婦さんに支給されます。通院等の経済的な負担、悪阻などで体調が思わしくない時に嬉しいサービスです。約70社のタクシー会社で使えます。
区内共通買物券
子どもが産まれると、新生児誕生祝品として区内共通買物券3万円分が支給されます。
出典/新生児誕生祝品(区内共通買物券)の支給 中央区ホームページ
トワイライトステイ
2歳から小学6年生までの子どもを、17時〜22時の間一時的に預けられる制度です。
対象
a.中央区在住の2歳から小学校6年生までの子ども
b.仕事・冠婚葬祭・親族の介護や看護・保護者自身が病気・ケガ・出産などで通院する場合
c.公的行事や裁判員制度の裁判員候補者に選任されて出席する場合
利用時間は17時〜22時、利用料金は2000円。共働きで忙しいファミリーにも優しい制度となっています。
預かりサービスが充実の“文京区”
子育て訪問支援券
区が指定した事業者のベビーシッターサービスを、保護者の休養、リフレッシュ、通院や就労など、お子さんの保育や子育て支援が必要なときに事由を問わず一定の負担で利用できます。
児童の保育、児童の食事のお世話、沐浴(生後2ヶ月まで)、医療機関への付き添い、簡単な食事の準備、保育施設への送迎、洗濯物干し・取り込み、生活必需品の買い物、居室の片付け・掃除といったサービスが受けられます。
対象
ベビーシッターサービスの提供を希望する2歳未満の乳幼児がいる家庭
費用
保育児童数1人につき1000円、2人だと1500円、3人だと2000円となっています。
子育て支援短期事業(ショートステイ・トワイライトステイ)
泊りがけでお子様を預かるショートステイ事業と夜間のみに預かるトワイライトステイ事業の2つを実施しています。
乳幼児ショートステイ | 子どもショートステイ/トワイライトステイ | |
保育対象者 | 生後7日目から小学校就学前まで | 満2歳から小学6年生まで |
利用事由 | 病気、出産、けが等により入院する 場合・家族の疾病等により介護または 看護する場合・事故または災害に遭い、 保育対象者の保育が困難な場合・ 冠婚葬祭に出席する場合・育児疲れ、 育児不安等で、家庭で養育できない 事情がある場合 | 病気、出産、けが等により入院する場合・ 家族の疾病等により介護または看護する場 合・事故または災害に遭い、保育対象者の 保育が困難な場合・仕事による出張や 一時的な残業に従事する場合・冠婚葬祭に 出席する場合・育児疲れ、育児不安等で、 家庭で養育できない事情がある場合 |
利用定員 | 1日1名 | 1日3名 |
利用期間 | 同一利用理由で 7日間(168時間)まで | 【子どもショートステイ事業】同一利用理由で 7日間(168時間)まで【トワイライトステイ事業】 休日を除く、月曜日から土曜日の 17時から22時までの1日単位 |
利用料 | 児童1人 1日(24時間) 6,000円 | 【子どもショートステイ事業】児童1人1日6000円 【トワイライトステイ事業】児童1人1回2000円 |
リンク先 | 文京区 子どもショートステイ・トワイライトステイ事業 | 文京区 子どもショートステイ・トワイライトステイ事業 |
記載の情報は2019年12月現在のものです。各制度は年度ごとや期中に変更となる可能性があるため、実際に利用する前に必ず区のページをご覧ください。