マンション購入を検討する時、立地や駅近など希望の条件で探すと、買えるのはどうしても築古物件になってしまうということはよくある話。
実は現在の不動産市場において経年物件の需要は拡大しています((公益財団法人東日本不動産流通機構 首都圏不動産流通市場の動向(2019年度)
http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_201904-202003.pdf))。
平成20年のリーマンショック以降、古くても市場価値に安定感のある物件が選ばれる傾向が続いているのです。
築古でも安心して買えるのはどんな築古物件なのか。押さえておくべきポイントをリストアップしました。
築20年以上の物件で見るべきポイント6
住宅ローン
フラット35((民間金融期間と住宅金融支援機構が提携して提供する、最長35年の全期間固定金利の住宅ローン))は新耐震か、耐震工事により耐震基準を満たしている物件にしか使えない場合がほとんどです。
フラット35の利用を検討している場合は、物件探しの際に不動産会社に伝えておきましょう。
防災
耐震基準
新耐震基準とは、1981(昭和56)年6月1日以降の建築確認において適用されている基準で、震度5強程度の揺れでも建物が倒壊しないと言われています。一方これ以前に建てられたマンションは旧耐震基準と呼ばれます。旧耐震基準の物件でも耐震工事により新耐震基準を満たしていることもあるので、調べてみましょう。
ピロティ
ピロティ((土地を有効活用するために1階部分を柱だけの空間としているもの))付き物件は耐震性が低いと言われており、阪神淡路大震災の時に倒壊したピロティ付き物件が多かったというデータが存在します((阪神・淡路大震災教訓情報資料集【03】建築物の被害(内閣府/防災情報のページ)
防火設備の点検
管理組合が報告書を保管しているので、消防法に基づいた点検を行なっているかをチェックしましょう。
玄関のドア
玄関のドアが耐震用の作りになっているかをチェックしましょう。玄関にメーカー名や製品番号が書かれていることが多いです。
管理状態
建物の構造
チェックしたいのは遮音性と傾き。
二重床((床とフローリングなどの床材との間に空間をとって二重構造になっている床))・二重天井((天井と天井仕上材の間にに空間がある天井))の物件は遮音性が高く、生活音が気になるリスクが少ないです。また二重床、二重天井の物件は天井裏や床下の空間で設備配管を動かせるので、間取りを変えやすくリノベーションしやすいというメリットもあります。
傾きをチェックするには、内見時にビー玉や水が半分ほどペットボトルを持っていき、床に置いてみましょう。ビー玉が転がるかどうかや、横向きに置いたペットボトルの水が水平であるかどうかで傾きをチェックできます。
エレベーター
エレベーターが古いと、共用部の電気代が高くつくことに。また閉じ込められる事故も可能性がないわけではありません。
水回りの状態(専有部)
水質検査を定期的に行なっているか、専有部の給排水管の工事がいつ行われたかを問い合わせましょう。自費で行うと高額になってしまいます(相場は50~100万円)。ちなみに配管の寿命は、材質により15~30年が目安です。
窓枠
アルミサッシの窓枠はカビが繁殖しやすいと言われています。
一般的に窓枠は共有部とみなされ、住人が勝手に変えられない部分なので最初にチェックしましょう。
借地権
立地がとてもいいわりに安い物件があった場合、「借地権つきマンション」であることがあります。借地権つきマンションとは、建物は所有するが土地は借地料を支払い借りる形で住むマンションのこと。
留意すべき点として、現在でも一部の築古マンションは1992年の現行(新法)の借地権ではなく、旧法の借地権に基づいた契約になっています。大きな違いとしては、旧法の場合、借地権者が土地の更新を拒絶しづらいということがあげられます。つまり、住人の合意や裁判などで決まらない限りはそこに住み続けることができるほど、土地を借りる住人側が強く設定されているのが旧法借地権です。
一方築年が新しい物件は、以下の図における新法の「定期借地」として必ず土地を返却しなければならない期限があるものが多いほか、新法のうち更新が可能な「普通借地」でも借地権者側が正当な手続きを踏めば更新をやめて立ち退きさせることが可能です。
更新までの残り期間なども物件情報に記載されているはずですが、それが新法か旧法か?普通か定期か?という点にも注意しましょう。
物件の管理体制
管理会社
マンションの管理は、「全管理委託」((管理会社に全て委託する状態))が安心。
管理会社の管理内容によって資産価値が変わることもあるため、管理物件の数や管理実績をチェックしてみたり、業界内での評判をエージェントに聞くのもよいでしょう。
修繕歴と修繕計画
築古物件にとって修繕工事は欠かせません。
物件の重要事項調査報告等資料((修繕履歴、予定や管理費などが書かれている資料))をエージェントに見せてもらい、チェックしましょう。
共用部の管理
実際に内見行った際、ゴミ置場や自転車置場を見てみましょう。また掲示板に貼られている書類が直近のものかどうかでも、管理のマメさがわかります。
建て替えの予定
建物老朽化などの理由で建て替え工事を行う場合、その費用はマンションの住民が分割で負担します。購入を検討したい物件が出てきたら、建て替えの計画があるかどうかをエージェントに確認してもらうことをおすすめします。
マンションの口コミ
中古マンションの場合、ネットにマンションの住民からの口コミが載っているサイトがある場合があります。
すべてを鵜呑みにするのは危険ですが、図面や内見だけではわからない生の声をチェックしておくと安心です。
築20年以上の物件は、価格が下がりにくい利点もある
築20年以降は価格が下げ止まる
一般に、新築から築年数を経るほどに資産価値は下がっていくといわれていますが、築古物件の購入においてはこれがあてはまらないケースもあります。
東日本不動産流通機構などの調査((築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2018年)http://www.reins.or.jp/pdf/trend/rt/rt_201902.pdf)) によると、中古マンションの売却平均価格は築20年以降、価格の下げ幅が小さくなります。新築・築浅プレミアムは築20年頃から底を打ち、そこからは物件そのものの価値で価格が決まります。
そのため、特に物件価値が上がるフルリノベーションを検討される方にとって、築古物件は売却時に買った時以上の価格で売れるチャンスの大きい選択肢ともいえるでしょう。
築古物件は、築浅のものよりも管理の差が明確に出やすく、よく言えばいい管理をしている物件が見極めやすいともいえます。築25年の物件と築35年の物件を比べたときに、築年が10年古くても築35年の物件のほうが清潔で、住人の管理意識も高く、住み心地がよいというケースもあるのです。
また、そんな時にぴったりなのが弊社サービスのAgently。
希望条件を登録しておくと、エージェントからその条件に即した物件の提案を受けたり、リノベについてなど物件購入に関する相談をすることができます。
古築年の古さに囚われすぎずに、知識豊富なエージェントや、リノベーション業者の専門スタッフなどに内覧に同席してもらいながら、磨けば光るよい物件を見つけましょう。
中古マンションのプロによる、リノベ前の物件チェックポイントをまとめた記事もありますので、ぜひあわせてご覧ください。
フルリノベーションを行った築22年の物件事例記事はこちらです。