日本でも徐々に増えつつある「サービスアパートメント」。
日本に定住していると縁がないように感じる方も多いかもしれませんが、もっとも多いビジネス利用のほか、国内に住まいがありながらも利用するケースもあるようです。
そこで、サービスアパートメントについての基本から東京の最新サービスアパートメント事情まで、グローバルなリーディングカンパニーであるオークウッドにお話を聞きました。
答えてくれたのは
Oakwood(オークウッド) 営業・事業開発本部長 石丸さん
Q.サービスアパートメントの具体的な内容について教えてください。
簡単に言えば、家具家電や清掃などホテルのようなサービスのついた、滞在期間1ヶ月以上の定期借家です。
もともとはアメリカから始まったビジネスモデルで、1960年代のアメリカの西海岸で当時の若い人たちの「ライフスタイルを共感する人たちで同じ施設で生活したい」というニーズに答えて作られたのが始まりです。
その後、新規プロジェクトに携わるスタッフが半年間住む場所など、まとまった短期の住まいのニーズに応えるようになっていき、事業が拡大していきました。企業にとっては、個別のオーナーとの契約が不要であったり、一定の品質が担保された住宅をまとめて確保できるという利点があります。
居住者にとっては、数ヶ月や半年などの一定期間の滞在でも生活用品、特に着替えさえあればその日から生活に入れる体制を準備した住空間が提供されるうえ、コンシェルジュやハウスキーピングの清掃のサービスといったサービスも受けられることが大きなメリットでしょう。
また、賃料の中に水道光熱費やケーブルチャンネルなどのインフラの費用が含まれており、出るときも入るときもご自身で煩雑な手続きをする必要もない、という身軽さも魅力に感じていただけることが多いです。
Q.清掃の頻度など、サービスの内容を詳しく教えてください!
『オークウッドプレミア 東京ミッドタウン』の場合清掃は週三回で、通常のゴミの清掃から、掃除機をかけたり、リネンの交換をします。内容はホテルのハウスキーピングに近いですね。
また、お部屋の電球の取り換えや家具家電の故障に困ったときも、まず全てフロントにご相談に来ていただけるところが、通常のマンション住まいとは違うところです。フロントはホテルのように24時間体制で、家賃やその他の支払いも全部フロントで行うことができます。
賃料や光熱費や家を借りるに当たる費用を別々のところに振り込まずに、フロントで一括で支払うことができたり、何かがあった時にすぐ対応でき、住まいの細かなメンテナンスがここ一つで解決できます。
Q.施設についてはどのようなものがありますか?
一階のラウンジでは、コンチネンタルスタイルの朝食をとることができます。また、ジムも24時間ご自由にご利用いただけます。最新のマシンや設備が充実したジムなので、パーソナルトレーナーを呼んでトレーニングされる方も多いです。
Q.入居時の手続きはどうしたら?審査はありますか?
一定の高級賃貸マンションとほぼ変わりません。
Q.住民票の取得はできますか?
住民票の登録はできます。住居として扱っていただけます。
Q.東京ミッドタウンのオークウッドさんの利用者層は、どんな方が多いですか?
海外のお客様が60%程度、居住期間は長い方が多いですね。半年、1年または複数年という方もいらっしゃいます。
外資系企業の短期のプロジェクトなどでのご利用はもちろん、日系企業や個人経営者の方のご利用など、ビジネス利用の長期滞在がほとんどです。
具体的には、海外から赴任してくるにあたり数ヶ月間滞在される方や、いずれ赴任期間中の家には引っ越すがまだ探している、もしくは入居先が見つかったけれども家の現状回復を待っていて入れない、荷物がないため入れない、などの合間の期間にご利用いただくことが多いです。
その次に多いのは、一定期間だけ日本にプロジェクトで来られて、ビザの関係で三ヶ月ほど滞在される方です。ホテルだと3ヶ月と思うと手狭だったり、自炊したいなどの理由でサービスアパートメントを選んでいただくことがあります。
Q.国内の個人の方の利用はありますか?
もちろん、日本の個人の方にもご利用いただいております。
ご自宅のリノベーションで1〜2ヵ月家を空けなければならない、という方が最近は多いです。また、デポジットや特別清掃代はいただきますが物件によってはペットOKなので、ペット連れでホテルなどに入れない方の一時的な住居としてのご用命は多いです。国際結婚で海外に住まれている方が年末や夏休みなど一時的に戻られる際のご利用もあります。
また、海外から帰任されたばかりの方で、持ち家を定期で借していて今住める家がないという方が、満期までのお住いとして使われることもあります。
Q.サービスアパートメントでしか得られない価値についてお聞かせいただけますか?
高級ホテルは非日常性を体感する場所で、通常の賃貸住宅は地に足がついた場に近い感覚で探される人も多いかと思いますが、オークウッドのサービスアパートメントはその中間を意識しています。
あまりにも非現実的でデザイン優先だと尖りすぎていて疲れてしまう。かといっていつもの洗面所のレイアウトで普通の賃貸と変わらない、というのもつまらない。そのバランスをデザインやインテリアに織り込んでいます。
Q.今後、東京のサービスアパートメントはどのようになっていくと思われますか?
ここ数年間で増えており、競争も激しくなっているのは、1LDK、1K、1DKなどの小ぶりな広さのサービスアパートメントです。小ぶりなサービスアパートメントはデザインやロケーションで選択肢が広がります。一方で、ラグジュアリー路線のサービスアパートメントは増えておりません。
『オークウッドプレミア 東京ミッドタウン』をはじめ、高級サービスアパートメントの稼働率は非常に高いです。ホテルレベルのサービス、クオリティを提供している物件はあまりないと、お褒めのお言葉をご滞在いただいているゲストからいただくことが多いです。
東京のサービスアパートメントは増えてはいますが、エグゼクティブレベルの物件というのはまだまだ少なく、かつ需要があると考えています。政府が外国人の長期滞在をより広く認めるようになれば、海外の富裕層の滞在は増えてくると思います。
また、最近では海外を拠点にしながら短期で日本に帰って来られ、数ヶ月間サービスアパートメントに住まわれるいらっしゃいます。ものを持たずにスーツケースひとつで引っ越していくようなライフスタイルが広まれば、ビジネス利用だけではなく“持たない暮らし”の延長として選ばれる方も増えてくるかもしれませんね。